「この肉は硬い」――翻訳バグだらけの魔導具と、言葉を超えた魂の共鳴。
感情を剥奪する「共通語(コモン・コード)」によってすべてが平坦に統制された世界。かつての伝説を隠し、無骨な戦槌(ポールハンマー)を引きずる世慣れた旅人・ニコは、森の奥で教導院の追手から逃亡してきた長命種の「人柱」――サラエロスを保護する。しかし、二人の間には決定的な「言語の壁」があった。サラエロスが故郷の『翠響語(セルヴァ)』で必死に訴える望郷と絶望の叫びは、ニコの安物の翻訳魔導具を通すことで『苦情申立:コノ肉ハ規定ヨリ硬イデス』といったシュール極まりない無機質な事務用語へと誤変換されてしまう!言葉はすれ違い、会話は噛み合わない。けれど、ニコの背負う戦槌の封印と、サラエロスの肌に刻まれた秘儀の紋様だけは、確かな「熱」となって互いの魂を共鳴させていた――。